「姫様はさ…体弱いんだよ… なのに旦那は戦ばっかり行って… ま、俺らだって彼女出来ても仕事減らせないもんな… それと同じなんだろうけど… で、ちょっと弱ってる時に、旦那いなくてさ キュヒョナも帰っちまって、広い部屋で一人 寂しくて…辛くて…唯一話相手だった テミナからユノヒョンと許嫁だなんて、ショックな事聞かされて… 発作起こしちまうんだ。 苦しくて…苦しくて… そんな時に敵が攻めてきて…」 チャンミンは乾いた喉を潤すためにワインをあける。 二人はその様子を固唾をのんで見守った。 「次に姫様が気づいた時にはユノヒョンと二人なんだ。 城から離れたどこか遠くだと思う。 ユノヒョンの”姫様!”って声で気づくんだけど、 なぜだか目が見えなくなってて… 逢いたくて… 逢いたくて… ずっと逢いたいと思って、苦しんでたユノヒョンが そばにいるのに、見えないんだ… ヒョンも身分の違いで諦めなきゃいけないって思ってるから 死にかけてる姫様目の前にしても 抱きしめる事も出来なくて…」 チャンミンはその情景を思い浮かべるように遠くを見つめ、 うっすらと涙ぐんだ。 「その後無理したからかお腹の赤ちゃんもダメになって…」 「その赤ちゃんはユノヒョンとの赤ちゃん?」 「違うよ!!!!キュヒョナ!ユノヒョンとは手を握った事もないんだから! やっとの事で指先ちょこっと触れたくらいで」 「いや前世ではユノヒョンとの子供出来たのかと思ってさ」 酔ったキュヒョンが放つ一言が、チャンミンの心をひどく傷つけたが チャンミンは表情に出さずに話を続けた。 「…フー…姫様…可哀想に… 生まれ変わったらユノヒョンのそばにずっと居たい…って それだけを願って… 死んじゃうんだ」チャンミンの胸がキュンと痛んだ。 「ふ〜〜〜〜〜ん」と長い相槌をうち、キュヒョンはソファにドサリともたれこんだ。 ミノはおもむろに立ち上がり、ティッシュを探して何枚かを引き抜き ズルズルと思いっきり鼻をかんだ。 「ミノは優しいよな〜。俺の話信じてくれるから泣いてくれるんだよな」 チャンミンはソファにもたれこんだきり、難しい顔をしている キュヒョンを見ながら、ミノにむかって微笑んだ。 「姫様の想いが今頃俺にのり移って、こんなにユノヒョンの事 愛おしくて、離れたくなくて、目が離せないだ って 妙に納得したんだ…」チャンミンが何気なく普通にそう言ったので 二人は驚いて 「…チャンミナ…  酔ってる?? おまえ今すげーことしらっと流したけど、気づいてる??」 「チャンミ二ヨン、びっくりしました」 「え?…    あ…   」チャンミンは自分が発した言葉を思い返して 顔を真っ赤にして、ゴホゴホっとむせ返った。 「…  酔ってるよな…  かなり…  」 「やってらんねーけど…  うらやましいよ… チャンミナ…おれ…おまえがうらやましいよ… そんなに人を好きになれて… あんなに愛されて…」 キュヒョンが心底うらやましそうに、まじめな顔でチャンミンを正面から 見つめた。 「…キュヒョナ…」